百害あって一利なし、ということわざがあります。自分に多くの弊害があるばかりで、利益になることがまったくないという意味のことわざですが、その例として多く挙げられるものがあります。
そのひとつが「タバコ」です。
がんや呼吸器不全など病のもとになることはもちろん、軽度のところでは肌荒れなどの原因にもなっています。
今回はタバコの成分やそれの効果により、肌にどういったトラブルをもたらすのか掘り下げていきます。
美容努力も打ち消すニコチンの影響
タバコの主成分は、知ってのとおりニコチンです。ニコチンは神経中枢及び末梢神経を興奮させ、血管の収縮を起こして血液の流れを妨げます。
血行が悪くなって酸素や栄養分が充分に身体全身に行きわたりにくくなり、皮膚の温度が低下します。すると新陳代謝が悪化し、肌にとってはシミやたるみ、カサつきの原因にもなります。
よく「マッサージをすると血行がよくなる」「運動をすると血行が良くなる」と言います。
確かに、マッサージは血行を良くしたり新陳代謝を上げたりしますし、運動をすれば皮膚に血流が行きわたり、皮膚の若々しさをアップする効果があります。
しかし、ニコチンは猛毒です。タバコを吸ったその瞬間から血管は収縮し、上記の効果を起こします。
がんばって運動しても、どんなに高いオイルをつけてマッサージをしても、そのせっかくの努力は、1本のタバコでまったく無駄になってしまうというわけです。
くすみも黒ずみも増加したメラニンと血行不順の影響
喫煙による一酸化炭素及びニコチンの摂取により体内の酸化が促され、角層細胞中のメラニンの生成が促されてしまいます。
メラニンとは動物の組織や細胞中に存在する黒色の色素のことで、光を吸収し紫外線の害から細胞を守ろうとするものです。
メラニン同士はくっつくことで色が濃くなり、それが皮膚の黒化(日焼け)の原因になるものなのですが、それがタバコを吸うことで生成量が非喫煙者よりも余計に上がり、結果肌に黒ずみが発生しやすくなってしまいます。
また、タバコには「タール」という成分も含まれています。その成分を摂取することにより肌の色が悪くなり、それらが喫煙によって開いた毛穴にも付着することで、黒ずみの原因となってしまいます。
さらに前述のニコチンによる血行不順の効果も重なり、酸素が正常に全身に運ばれないことにより全身が常に酸欠の状態に陥ってしまいます。
酸素が供給されないと肌はどんどん劣化し、健康的なつやや肌色が損なわれてしまうのです。
栄養分も無駄になる、美肌に良い成分が奪い取られてしまう影響
タバコを吸っていて何だか肌の調子が悪い……でもタバコは止められないので、肌によい栄養を補おう。
そう思ってビタミンCを摂取してもタバコによってそれも無駄になってしまうということ、ご存知でしょうか?
確かにビタミンCは美容効果だけでなく、風邪予防にも優れたマルチビタミンとしてよく知られています。
免疫力の効果や抗酸化作用、そして女性にとって大切なコラーゲンの生成にも大きく関わる栄養素です。
しかしタバコを1本吸うごとにビタミンCはおよそ25~100mgが消費されてしまいます。
食品で具体例を挙げるとすれば、パセリを100g食べれば120mg、ニガウリを100g食べれば76mg、ブロッコリーを100g食べれば120mgのビタミンCを摂取できるといいます。
タバコを1本吸った分の100mgのビタミンCを食品で取り戻そうと思ったら、ニガウリを100g以上食べなければならないということです。
また、ビタミンCは前述のメラニンによる色素の沈着を防いでシミやそばかすなどを予防する効果もあります。肌に悪い効果を防ぐ手立てさえ、タバコは奪ってしまうのです。
老化も促進……酸化による影響
喫煙することによって、タバコの煙の成分が女性ホルモン生成に必要な酵素を抑制し、また老化を引き起こす活性酸素を発生させます。
活性酸素は細胞内の不飽和脂肪酸と結びついて過酸化脂質……いわゆる「サビ」に変化します。
りんごを半分に切ってしばらくそのまま置いておくと、黄色く変色して見た目がまずそうになり、実際食べてみてもなんだかパサついていやに酸味がありますね。
あれが酸化、つまり「サビ」です。細胞膜が酸化してサビついてしまうと、細胞が老化してしみ、しわ、などの皮膚の老化の原因になります。
また、活性酸素は身体組織の主要な構成要素となるたんぱく質であり、組織に弾力を与える組織である「エラスチン」を分解する「エラスターゼ」という酵素を活性化させてしまい、肌のハリの喪失はいっそう加速し、しわの増える原因ともなります。
コメント