少女漫画を原作にした胸キュン恋愛映画はここ数年の流行りではありますが、大人になるとお互いのことだけ考えて恋愛できる訳ではないので、ついつい「恋愛なんて面倒」「漫画みたいには行かないよ」と思ってしまいませんか?
今回は、恋愛モノでありつつ、これからの生き方も考えてしまうような、大人にこそ見て欲しい邦画の恋愛映画を紹介したいと思います。
抱きしめたい ―真実の物語―
「記憶障害の花嫁 最期のほほえみ」というドキュメンタリーから生まれた事実に基づく作品です。主人公つかさ(北川景子)は高校時代の交通事故で左半身が麻痺し、同時に記憶障害も患ってしまいました。
とあるトラブルから出会ったつかさと雅己(錦戸亮)はやがて結婚を意識するようになりますが、つかさの母と雅己の父に猛反対されます。
結局つかさは結婚を認められないまま雅己の子を身ごもり、出産をきっかけに、親や友人にも祝福を受けて幸せを味わいますがそれもつかの間、つかさの短い人生の終りはすぐそこに迫っていたのです。
命の期限がある相手との恋愛は、相当に覚悟が必要なことです。また、自分の余命が幾ばくもないと知ったうえで「結婚」「出産」という道を選ぶのも生半可なことではないでしょう。
そんな厳しい状況の中にも幸せを見出した二人の愛情に胸が熱くなり、爽やかささえ残してくれる秀作ではないでしょうか。
ハナミズキ
一青窈さんの大ヒット曲をモチーフに、両想いなのにすれ違ってしまう男女の恋を描いています。
偶然の出会いから想いを寄せ合うようになった紗枝(新垣結衣)と康平(生田斗真)でしたが、地元・北海道を出て東京の大学に進学した紗枝と、家業を継いで漁師になった康平は次第にすれ違うようになり、別れる道を選びます。
その後、全く違う道を歩んでいた二人が再び出会い、忘れられなかった想いがまた膨らんでいきます。宣伝で煽られていたほど「泣ける」映画ではありませんが、離れている間のお互いの機微が、映画らしくなくリアルです。
心は相手に一途でありながら別の人と付き合ったり、結婚しちゃったり。「純愛映画」と謳ってしまうよりも「あなたにも似たような経験がありませんか?」と、学生時代を懐かしみながら見て頂きたい作品です。
今度は愛妻家
中谷まゆみ著作の戯曲が行定勲監督で2010年に映画化されました。かつては有名カメラマン、今は開店休業状態の夫・俊介(豊川悦司)の世話を日常生活としていた妻・さくら(薬師丸ひろ子)は、夫への不満からある日突然家を出て行ってしまいます。
解放感で新人モデルを家に呼びイケナイことを目論む俊介でしたが、そんな折り、「写真を撮って欲しい」とさくらが帰ってきて……。
原作が舞台ということで、会話のテンポがとても良く、話がするすると進んでいく印象です。全体を通して大きな仕掛けがされていて、冒頭で気付いた人は「やっぱりね~」と思い、ただ純粋に見ていた人は「ええっ、そう来るの!?」と急展開に驚くのではないでしょうか。
映画公開時は劇場に40代以上の夫婦が目立ったそうで、既婚者も未婚者も「夫婦」について改めて考えさせられる作品です。
容疑者Ⅹの献身
あまりにも有名になった東野圭吾氏の「ガリレオ」シリーズ。中でもこちらは直木賞受賞作で映像化は難しいと言われていました。
内海刑事(柴咲コウ)から殺人事件のアドバイスを求められた湯川学(福山雅治)は、現場で学友だった天才数学者・石神哲哉(堤真一)を見かけ、石神が事件に関わっているのではと調査を始めます。
見終わった後に、いろいろ苦い物がこみ上げる作品です。だけどこの作品の中にはたくさんの種類の「愛情」が盛り込まれていて、何度見ても「結末はこれで良かったのか」と考えさせられてしまいますが、それでもやっぱり石神の深い・一途な愛情に心が打たれてしまうのです。
時をかける少女(アニメ)
筒井康隆氏の同名小説が原作ですが、これまで映画化やドラマ化された原作そのものではなく、約20年後が描かれています。
『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』で知られる細田守氏の初監督作品で、小さい規模の上映から口コミでロングランされ、国内外の賞も多数受賞しました。
主人公の女子高生・紺野真琴(声・仲里依紗)は、自転車に乗っていた際に踏切事故にあったのをきっかけに、過去に戻ってしまう能力(タイムリープ)を授かります。
日々の危機を回避することを覚えた真琴は特殊能力を満喫していましたが、繰り返す毎日に徐々に歪みが生じ、同級生の男友達との関係も微妙に変化が現れ。
何度見ても切なくて、それでいてほんわりとした温かみを胸に残してくれる映画です。
真琴に想いを寄せる少年・千昭(声・石田卓也)のラストのセリフに「やられた」「ズルい」「イケメンすぎる」など、意見が集中。青春ってこんなにキラキラするかね!? と心が洗われる作品です。
まとめ
青春時代のような胸キュン恋愛もいいですが、大人ゆえに上手くいかない、自分の自由にはならない恋愛もあります。仕事を抱えた大人こそ「恋愛は面倒」と思ってしまいがちですが、自分の心の中にある情熱や愛情を思い出してみませんか。
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