共済と保険を同じようなものだと思っていませんか?確かに共済、保険、ともに入院日額〇円とうかたちでお金を受け取ることができます。しかし、その性質は全く異なったものです。共済と保険の違いから、それぞれのメリットとデメリットまで、比較しながら検討します。
共済とは何なのか
共済とは、皆でお金を出し合ってもしもの時に備える、「皆で助け合おうという制度」です。
一人が100万円を出資するのは大変ですが、100人なら一人1万円ずつの出資で済みます。その出し合ったお金を積み立てておいて、メンバーの中に誰かが困ったら積み立ての中から渡そう、助け合おう、これが共済です。
同じような事情の人たちが集まってお金を出し合い、メンバーの中に困っている人がいたら、共済として積み立てていたお金で援助しよう。これが共済制度の大本です。一般的なのは、県民共済や国民共済といった、事故や病気の時、主に自分たちの体や健康に損害があった時に助けてもらえる共済ではないでしょうか。この他に、各業種対象の共済制度があります。
中小企業共済はその地域の中小企業のために設立された独自の共済です。中小企業の福利厚生や退職金の準備、年金の準備などのほかに、保障を備えているところもあります。ここではいくつかピックアップして、その保障内容について紹介していきます。
障害者を扶養している家族にとって、一番の心配は、自分が動けなくなったら時や死んでしまった後のことだと思います。そんな家族にとって「心身障害者扶養共済制度」というものがあるんです。その内容や利用の方法についてまとめます。
共済の中身とは?
保険は保険会社との契約で、契約者に保険事項に該当することが起きれば保険会社が管理運用しているお金を保険契約額だけ支払いますが、共済は都道府県や特定の団体が呼び掛けて(主催して)助け合いのために積み立てていたお金から払います。
どこが行っているの?
補償内容はどんなもの?
事故にあって怪我をした時に助けてくれるもの、死亡時に支払いがあるもの、入院時に日額が支払われるもの、住宅に被害があった時に助けてくれるもの、保障内容は私たちが保険と言われて思い浮かぶ内容と変わりません。
ただ、保険は保険会社が運営し、一定額を支払うことを約束して契約を結ぶのに対し、共済の性質はあくまで皆で貯めるもしもの時のお金、助け合い、です。この性質の違いとメリットとデメリットの違い、そして共済の種類(国民共済なのか県民共済なのか、農業共済なのか、など)によって加入条件や保証の条件、共済に支払うお金が異なると、ポイントを押さえておけば共済について理解することはさほど難しくありません。
もう一つ、共済の補償内容について補足として覚えておく必要があるのは、「ペット保険や変額保険のような変わったものはナシ!」ということです。保険には色々な種類がありますが、共済はスタンダードな死亡保障や怪我の保障、入院保障のような「基本的な保障」に特化しています。変額保険のように、運用益がついたり、自分で好きに運用できたり、ペットを保障したりといった中身が複雑な共済はあまり見受けられません。
共済と保険の違い
共済と保険の違いは「お金の理念と性質」の違いです。
保険会社は会社ですから。保険料や保険料を運用した分から利益を得ますが、共済はあくまで助け合い、いざという時に共済申し込み者同士で支え合うために積み立てるお金としての性質が強いです。お金の性質、そして理念が異なるということですね。
保障内容は保険と共済でさほど異なるわけではなく、怪我の時の保障や、死亡保障、入院保障など、共済にも保険にもそろっています。ただ、保険の方が特約の幅が広く、ペット保険などの人間以外の保険も充実していることが多いです。
保険会社は保険を目的としてバリエーション豊かな特約や保険を次々と提供していますが、共済は何か別のことを目的とした団体が主催していることも多いので、保障内容は比較的スタンダードで基本的なものだけを提供していることが多いです。
共済は、共済を専門に扱う団体もありますが、メインは他の業務で片手間に扱っているというところもあります。団体であれば、団体の共済部門という感じです。農業協同組合などは、共済が主の目的ではありませんよね。けれど、農協は共済を扱っています。主に農業関係者の支援のためです。主目的があって、そのために共済が付属していると言えば良いでしょうか。
保険は保険会社が主目的として提供していますし、それが会社の仕事ですから、複雑な特約や多彩な保険を提供することができますが、共済は主催団体に他に主目的があり、あくまでその目的に合致する範囲で行われるので、保険会社ほど保障の種類が多くないのです。農業協同組合の共済などは、特に農業に従事する人や、農業を守るために積み立てが行われていると考えれば、なるほど、農業という目的の範囲内で共済が行われているのかと納得できることと思います。
保険会社の保険とは?
保険は死亡の場合は400万円、入院日額1万円など、はっきりと金額を約束して契約します。契約したからには、保険会社は保険事項に該当する事由があれば、契約した金額をきっちり支払います。父親が死亡したら1,000万円という契約をしていればその通り支払われます。
共済の契約と支払いは?
確かに事由に該当すれば、共済、保険とも支払いは行われるのですが、支払い手続きから入金までは保険会社の方が圧倒的にスムーズということも多いです。また、共済はよくグレーゾーンが多く、グレーゾーンに該当すると支払の対象にならないと断られてしまうという話もききます。
支払い対象になるか、ならないか。微妙なグレーゾーンに関しては、「契約して保険料を払ってもらっている関係」と「皆のお金を積み立てて預かっている助け合いの母体」という違いがありますから、やはり後者の方が判断が厳しくなる傾向にあるようです。
料金は違うの?
ただし、支払うお金が安く設定されている分、いざという時に支払われる金額も少な目に設定されていることを忘れてはいけません。
保険では数千万や億円の契約もできますが、共済でこういった金額を設定していることはまずありません。共済でも口数を多く契約すればその分たくさんのお金を得ることもできますが、ベースになる共済の支払金額が低いため、あまり経済的とは言えません。
加入口数を一人一口と制限されていることも多いため、共済は支払い金額が少ない代わりに、いざという時にもらえる金額は保険よりかなり少ないと覚えておく必要があります。共済の入院日額で入院一日分をまかなうことも難しいことがあるでしょう。
割戻金あり
特典はあるの?
ペットに優しい共済特典
秋田県民共済では、加入者とその家族に限り、ペット用の施設を利用できる特典があります。
施設は野外芝生ドッグラン、雨の日には嬉しい屋内ドッグラン、セルフシャンプースペース、グルーミングスペース、ペット用プール、カフェスペース、多目的ホール、ペットの専門家(獣医師など)への相談コーナーがあり、格安または無料で利用することが可能です。季節によってペット用のイベント(ワンちゃん用ケーキ教室など)も開催されており、共済加入者とその家族だけが参加可能になっています。
利用に際してはセルフシャンプー室やグルーミング室の利用は料金がかかりますが、回数券を購入すれば、お店でセルフシャンプーをするより安上がりになるのではないでしょうか。施設全体が犬OKですから、ワンちゃんを飼っているお宅にとっては嬉しい特典です。
メリットとデメリットの比較
共済のメリットとデメリット
■掛け金が安い
■特典があることも
■割戻金がある
■補償内容は基本的なものがそろっている
■補償内容が基本的だから分かりやすい
■加入に特定の地域に住んでいることなどの条件がある
以上が共済のメリットとデメリットです。共済は保険のように人それぞれ特約をたくさんつけて使うことにより大きな違いは出ませんから、内容を把握するのが単純です。事故にあって入院、死亡、後遺障害、通院に対しお金を支払うという、とても単純なタイプが多いです。
掛け金が数百円から数千円と、安いことも魅力です。割戻金も魅力です。秋田県民共済のように共済加入者だけが特典という恩恵を受けられることもあります。
対し、デメリットは、助け合いですから、困っていても保険のように高額の保障が受けられないこと(口数制限があること)と、保険の特約を付加するように、自分に合った特約を付加し、カスタマイズして使うことができないことです。
基本的な保障はそろっていますが、逆に言うと基本的な怪我や死亡、事故以外の保障は受けられません。共済にも色々なタイプが用意されており、自分の好きなタイプに加入すればいいだけですが、保険の特約程の柔軟性はありません。入院保険だけを見ても日額が低いため、共済だけだと差額を自分が出さなければならないことも多いはずです。
加入に条件があることも特徴です。保険も年齢や健康状態によって保険料が変化し、告知によって保険の受付ができないこともあります。共済の場合は、特定の団体や地域の構成員であることを条件に加入を認めることもあり、いかに隣県の共済が魅力的であっても、その県在住限定となっていれば加入はできません。
保険のメリットとデメリット
保険のデメリットは、特約をどんどん付加することによって自分に合ったサービス内容を選んでオーダーメイド化できるところと、何といっても共済よりバリエーション豊かなところが魅力です。
また、保険料は全般的に共済の掛け金より高いですが、その分、保険事由に該当すれば、高額の支払いが行われることも特徴です。支払われるか支払われないかのグレーゾーンの審査は、共済の方が厳しい傾向にあります。
共済は死亡保険金も入院日額も保険よりかなり低く設定されていることが多く、それだけで葬式費用や入院費用をまかなうことはなかなか難しいかもしれません。保険であれば、いざという時に額の大きな支払いを受けることができます。
結局、どちらがお得なのか?
けっきょくどちらがお得なの?についてですが、何をもってお得とするかによって変わるのではないかと思います。保険料と掛け金だけを単純に比較すれば、共済の方がお得であることが多いでしょう。対して保障内容やいざという時に下りる金額を比較すれば、保険に軍配が上がるのではないでしょうか。
共済のおススメの使い方ですが、保険とどちらを比較してお得かどうか、どちらかを選択するかではなく、保険をメインの保障にし、自分の健康状態や将来不安なことをフォローできるようにします。その上で、保険の保険として、補助的に共済を使うのはいかがでしょうか。
保険は下りる金額を自分で操作しやいため、いざという時の算段がつけやすいのです。共済も日額が決まっていることは決まっていますが、掛け金が少ないことに比例して下りるお金も少額ですし、カバーできる部分も基本的な部分だけ、オーダーメイド化し難いという欠点があります。主たる補償としては使い難いのです。
入院保険、死亡保険、ガン保険などの保険にしっかり加入し、共済は各保険の穴の部分を補完するものとして、重なる部分の保険特約を切って、保険と共済のダブルで使ってみるのはいかがでしょうか。
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