1.雑損控除の対象となる資産の要件
損害を受けた資産が下記に当てはまることが絶対条件となります。
資産の所有者について
資産の所有者が納税者であるか、納税者と生計を一緒にする配偶者や親族でその年の総所得金額が38万円以下の者であること。
対象となる資産について
通常の生活に必要な住宅や家具、衣類などの資産であること。そのため、事業用の資産や別荘、書画や骨董、貴金属などで1つの価格が30万円を超えるものに関しては対象となりません。
2.損害を受けた原因
損害を受けた原因が下記の5つに該当する場合に限られます。
- 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
- 火災、火薬類の爆発などの人為による異常な災害
- 害虫の発生などによる異常な災害
- 盗難
- 横領
これら5つとなっていて、詐欺や恐喝で被害に遭遇してしまった場合は、雑損控除を申請することが出来ないので気をつけてください。
3.雑損控除として申請することが出来る金額計算
雑損控除として控除することが出来る金額は下記の2点のうち、金額の多いほうが優先されます。
- (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
- (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
ポイントしては、損失額が大きすぎてその年の所得金額から控除しきれないという場合には、翌年以降3年間まで繰り越して各年の所得金額から控除することが出来ます。
そして、雑損控除に関しては、他の所得控除に先立って控除されることになるので、何よりも優先される所得控除となっています。差引損失額については、下記で紹介します。
4.差引損失額の計算方法
差引損失額というのは下記の計算式で求めることが出来ます。
差引損失額=損害金額+災害関連支出の金額-保険金などにより補填される金額
このような計算で求めることが出来ますが、こちらの計算式に関しても説明が必要だと思われるので、詳細に紹介していきます。
損害金額とは
損害金額というのは、損害を受けた時の直前におけるその資産の時価を基にした損害の額となります。あくまでも時価での計算となりますので、使用年数が経過していたり、消耗が激しかったりするような資産に関しては、相場よりも大きく下がった金額となります。
災害関連支出の金額とは
災害関連支出の金額というのは、災害による失ってしまった住宅や家財などを取り壊したり、除去したりするために支出した金額の総合計となります。
保険金などにより補填される金額とは
保険金などにより補填される金額というのは、災害に関して受け取った保険金や損害賠償金などの金額のことを指します。
5.雑損控除を受ける手続き
雑損控除を受けるための手続きとしては、確定申告をする際に確定申告書に雑損控除に関する事項を記入し、災害関連支出の金額を証明する書類を添付するか提示してください。
そして、給与所得がある方は、これらの書類の他に源泉徴収票の原本を申告書に添付するようにしてください。以上で、雑損控除に関する紹介は完了となります。
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