減価償却の種類とその特長
減価償却の方法には、定額法と定率法があります。まずは、それぞれの特長について説明します。
定額法
定額法は、減価償却資産の一定額を毎年償却していく方法です。
実際には、減価償却資産の耐用年数ごとに決められた償却率があるので、「取得価額×償却率」で求めた金額を償却することになります。
毎年決まった金額だけ償却されるので、比較的わかりやすい方法といえます。
定率法
定率法は、減価償却資産の一定割合を毎年償却していく方法です。
定額法と同様、耐用年数に応じて決められた償却率があり、「未償却残高×償却率」で求めた金額を償却します。定率法の償却率は、定額法の償却率の2.5倍になっています。そのため、はじめのうちの償却額が大きくなり、どんどん償却額が減っていくという特長があります。
なお、上記の式で償却を続けていると、何年たっても残存価額が1円になりません。そこで、一定の償却保証率を下回ると、その後は定額で償却していくという仕組みになっています。
減価償却資産の償却率表は、国税庁ホームページにてご確認いただけます。
定額法と定率法の選択
定額法と定率法の違いは上記でご理解いただけたと思います。では、定額法・定率法はどのようにすれば選択することができるのでしょうか。法人の場合と個人の場合で異なるため、注意が必要です。
法定の償却方法
個人事業主は定額法、法人は定率法が法定の償却方法です。なお、建物(平成10年4月以後取得)については、定額法のみとなっています。
償却方法の変更
減価償却資産の償却方法は、資産の種類ごとに決めることができます。法定の償却方法でない方法で償却をしたい場合は、確定申告書の提出期限までに、「減価償却資産の償却方法の届出書」を税務署に届け出なくてはなりません。
届出書を提出していない場合は、自動的に法定の償却方法で処理することになります。
定額法と定率法、どちらが良いのか
定額法と定率法のどちらを選ぶのがいいのでしょうか。それぞれの特長から考えてみましょう。
定額法が向いている場合
定額法は、毎年の償却額が一定になるため、とてもわかりやすい償却法です。また、定率法と比べて、初期の償却額が少なくなります。次のような場合には、定額法が向いていると言えます。
- 簡単に経理処理をしたい場合
- ほとんどの減価償却資産が建物である場合
- 創業期など、できるだけ早く利益を出したい場合
定率法が向いている場合
定率法は、初期の償却額が大きくなるのが特長です。
将来の費用負担が少なくなるので、将来の経営の健全性を確保することができます。しっかりと利益を出せている場合は、定率法で早めに費用計上するのが良いでしょう。
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