WHOの推計では、日本の軽症うつとうつ病患者は、全人口の3~5%を占めていると推計されているようです。
日本人の5人に1人が、一生の間に一度はうつ症状を経験するとも、現代サラリーマンの2人に1人は程度に差はあれ、うつになっているとも言われています。うつは、その症状が、体に現れた症状により、内科や胃腸科、耳鼻咽喉科、整形外科、脳神経系の診療科目などでみてもらっているようです。
このコラムでは、うつになった時の対処方法ではなく、うつ病の原因になりやすい要因について考え、このような要因の事柄があった時に、体や心に現れる症状をうつと疑ってみて、「精神科」や「心療内科」にいくことをお勧めするものです。それから、軽症うつの症状は、必ず改善できる、治せることも理解してください。
うつ病の要因としては、大きくは二つからなり、そのうち一つ目は、その人個人の内面からくるもので、「なりやすい性格・気質」というものがある。まじめで完璧主義で頑張りすぎるひとなどが該当し、医学的には、「循環気質」「メランコリー親和型性格」「執着性格」などと分けられることがあります。
二つ目の外的要因を大きく3つに分けてここでは、紹介したいとおもいます。この外的要因の分け方も様々ありますが、「仕事」「家庭」「その他」に分けて紹介していきます。
(1)仕事
仕事に関する心に影響を及ぼす影響には多々あります。「就職」「転職」「栄転」「転勤」「昇進・昇格」「過労」「大きなプロジェクトの重圧」「中間管理職としての上下関係との板挟み」「職場の人間関係・いじめ」「リストラ」「降格」「退職」こうして列挙していくと、仕事そのものが、ストレスの塊で誰でもが「うつ」になる要因を内在しており、逆に仕事が楽しくてたまらない人のほうが、はるかに少ないと思います。
ただ、仕事を楽しんでいる人ほど成功者が一般的に多いように見られます。つまり、「うつ」にならないこと=仕事を楽しむこと=成功への前進とも言って過言ではないと思います。 先に挙げた多くの仕事上のストレス要因(=うつの誘発要因)をどうやって解決していくかが、「うつ」になりにくくすることが、大切です。
ここで大切だと思われることは、『こころとからだは、つながっている』ということです。さらーリーマンの多くが、慢性胃炎や胃腸に変調が表れています。実際、多くの胃薬には、抗不安薬と同一成分が入っていることが多いようです。
このように仕事を要因とする「うつ」は、ほんのささいなことがきっかけで発症することも多く、気分の落ち込みや不眠、自責感、抑うつ気分、焦燥感、思考力や集中力、記憶力の低下など自分自身だけでなく職場にも迷惑をかけることもありますから、自分自身でこうした気持ちや状態の変化、身体の変調などいかに早くきづくかということも大切になってきます。
本当に初期であれば、内科や胃腸科でも抗不安薬を処方してくれますし、病院が嫌なら、自分自身でストレス発散、解消を行っていきましょう。サラリーマンに注意してもらいたいのは、ストレス解消法として、酒やギャンブルに過度に依存することだけは、避けて下さい。何事もほどほど、そうです、これは、仕事にも言えます。一生懸命必死になってやっても、ほどほどでやっても結果が同じだったりするものです。
(2)家庭
家庭や家族が要因で起こる「うつ」には、「結婚」「離婚」(恋人なら別れ)「妊娠」「出産」「自宅の購入」「引っ越し」「リフォーム」「子供の独立」「近所との付き合い・騒音」「教育問題」などなど、仕事と同様に数えきれないほど「うつ」の誘発要因があります。
結婚している人の場合、仕事と違っている点は、妻(または夫)と真剣に向き合っていかなければならないこと、もし、相手が「うつ」になってしまった時に救ってあげられることなどがあげられます。加えて、互いの性格や性質をよく理解しておくことが大切です。誤解のないように相手の良き理解者とは少し違います。結婚とか自宅購入とか子供のことは、仕事と同様に人生の大きなイベントです。
仕事上では、仲間がいても所詮は、孤独な戦いをしていかなければなりませんが、二人で同じ道を歩いていかなければなりません。ここで食い違うと「うつ」の要因になります。
家庭の「うつ」要因を除去していくには、二人の協力・妥協・理解なしには、なしえません。妻(夫)と自分は、人格が違うのですから、良き理解者になろうとせず、互いの人格・性格を尊重していけるようある程度の努力も必要になってくると思います。
(3)その他(病気など)
がんになった人の2割以上、糖尿病では2~3割の人が「うつ」になると言われています。このように「病気」「けが」「親しい人の死」「ペットロス」など心を痛める要因は、生きている限り多くあります。
現代日本人は、がんを含めた成人病で苦しんでいる人々が多くいらっしゃいます。がんの地域拠点センターには、精神科リエゾンチームが作られています。
ここで言えることは、病気が「うつ」の要因であることは、まず病気にならないようにすること、定期的な健診や人間ドックを受診すること、食生活に日ごろから気をつけ、適度な運動をし、成人病を予防すること=「うつ」にならないことでもあるのです。
また、親やペットは、たいていの場合、自分よりも相対的に寿命が短いはずです。こころの準備やイメージを持っておくことで、ダメージを少なくできるかもしれません。
現代の日本社会は、不況、将来が見えないなど不安要素が多すぎると言っても過言ではありません。「うつ」の発症要因を大きく3つ上げましたが、今、この文章を読むことさえストレスを覚える方もいらっしゃるかもしれません。
ストレスと「うつ」は密接に関わっています。同じようにこころとからだも密接に繋がっています。これからを生きていくうえで参考にして頂ければ、幸いです。
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