どうしても仕事が嫌になったときに使う最終手段、それが「転職」です。しかし、転職が必ずしも良い結果をもたらすわけではありません。転職にはリスクを抱えているのです。
それでも、今の問題を解決するための手段としての転職で仕事の悩みを克服し、幸せなキャリアを形成できた人も数多くいます。
そこでこの記事では、転職のメリットとデメリットについてお伝えします。最終手段である転職というカードを有効に使うためのヒントになれば幸いです。
転職するメリット4選
新しい環境が手に入る
転職による最大のメリットは、新しい環境が手に入ることです。
新しい環境に変わることで、新しい経験を積むことができ、キャリアチェンジの可能性が開けます。
また、違う職種にチャレンジしたり、どうしても就きたかった仕事や追求したいテーマに関わったり、ワークライフバランスに配慮された環境を目指すことも、転職というカードを使うからこそ実現します。
ただし、自分が転職によって何を得ようとしているのか、それはどこまで犠牲を払ってでも手にしたいものなのか、をしっかりと考える必要があります。
参考までに、筆者は特に20代の若手が「他の仕事もやってみたい」といったような理由で転職をするのは、特に問題ないと考えています。
20代のうちに複数の会社や仕事を経験することによって自己認知が深まり、30代以降どの領域でキャリアを積上げていくかの大まかな方向性を絞る糧とできれば、決して転職は無駄にならないでしょう。
給料や待遇が上がることがある
現在の職場に対して、給料が安い、休暇がないなど、待遇に不満を持っているケースも数多くあると思います。
このような場合は転職で問題を解決することができる可能性もあります。在職中に長い目で見て、より給料の高い会社や休暇が多い会社などを探すことは十分に可能です。
ただし、求人票の内容が実際と違っていたということは残念ながら多いのが現実です。
企業としても多くの応募者を集めたいとの思いから、過大な待遇を記載することもあります。転職してからそのような事実に遭遇しても後戻りはできません。
そのようなことにならないためにも、転職エージェントや転職サイトを十分に活用し、失敗のない転職活動を行う必要があります。
気持ちを一新することができる
同じ会社で長期間勤務することは、信用という面ではプラスになる反面、マンネリ化して刺激が感じられなくなります。
そして、いつまでも同じ仕事、同じメンバーで仕事をしていれば、自己の成長が止まってしまうという事態につながることもあります。
もし仕事でさらに成長したいという思いを持っている人にとっては、転職も有効な手段の一つとなります。
新しい職場に移れば、そこにいるだけでも新鮮な気持ちを味わうことができ、今までと違う仕事のやり方に触れることで、さらなる成長につながることだってあります。
また、今まで自己が積み重ねてきたスキルが意外な形で役に立つことも考えられます。
新しいやり方と融合させてさらに生産性を高め、それが評価されれば自らのモチベーションも高めることができるでしょう。
自分のやりたい仕事やテーマを追求できる
転職を考えるということは、自分のやりたい仕事のテーマがあり、それができることを目指すという側面もあります。
そして企業側も、即戦力にそのような力を期待して採用するわけです。
企業が中途採用者を採用するということは、その専門性やチャレンジ精神を買っている側面があります。
そのため採用された場合、新卒一括採用と異なり、基本的な配属先はやりたい仕事の部署となります。
そこで頑張れば新たな職種でのキャリアを形成することが出来るようになります。
転職するデメリット4選
退職金や待遇などが不利になる可能性がある
企業の退職金制度は、一般的に長く勤めれば勤めるほど有利になる(多くもらえる)仕組みになっています。
そのため、転職をすると退職金の積み立てがいったんそこで終了し、次の会社に転職しても退職金の積み立てが1年目からのスタートとなるため、不利になることがあります。
会社での人脈を失う
会社を辞めて転職をすると、会社での人脈を失ってしまうことにつながります。
よく、サラリーマンが独立するときに、周りの同僚が「私が最初のお客様になります!」と言ってくれたものの、実際に独立した時には音沙汰もなしなんてこともよく起こります。
また、新しい会社に転職すれば、新しい会社で人間関係を構築するための努力が必要となり、その苦労は新卒一括採用での人脈構築の苦労と比べると比になりません。
ただし、あなたがパート・アルバイト・派遣社員などの「非正規社員」であれば、勤め先がブラック企業でない限り、歓迎すべきキャリアアップです。
可能な限りチャレンジしてください。
問題が解決できないリスクもある
人間関係や待遇に対する不満から転職をしたとしても、必ずしも問題が解決できるとは限りません。
転職後の会社は、転職後に実際に働いてみないとわかりません。最悪の場合、前職より状況が悪化することだって考えられます。
待遇にしても、実際に求人票にあった待遇が保証されているとは限りません。
また、転職をすると、また一から人間関係を構築する必要が生じます。そのため新しいストレスの原因を作ってしまう可能性もあります。
社会的信用の低下
ローンの審査では、会社での勤続年数が審査の重要な要素の一つとなります。勤続年数が短い場合は、それだけで審査に通らない可能性も否定できません。
上場企業など、有名な企業に転職した場合や、十分な年収がある場合などは転職直後でも審査に通ることもあるようですが、一般的には数年の勤続年数が審査には求められます。
もし、本当に転職を検討されているのであれば、クレジットカードやローンカードは転職前に持っておく必要があります。
転職の必要性チェックリスト
転職が本当に必要か確認してみよう
良くも悪くも、転職すると大きく人生が変わります。
しかも、転職後のキャリアや人生がよくなるかどうかは運に左右されるところが大きく、転職を決断した場合はこれらのリスクを受け入れなければなりません。
もし、転職をせずとも実現できるようなものであればあえて転職をせず、上司に異動願いを出す、人間関係に問題があればその人が異動するまで待つなどの、様々な選択肢も存在するはずです。
転職前に、転職後にどのような環境を求めるのか、どのような状態になりたいのかを明確にイメージし、それを実現させるための準備を周到に行うことが転職成功のカギとなります。
そこで、今の処遇への不満の原因に関して、簡単なチェックリストを作成しました。転職を本気で考える前にお使いいただき、本当に転職が必要なのかを考えてみてください。
チェックリスト①
この項目にチェックが4つ以上あれば、まだ安易に転職をしない方が良いでしょう。
はい | 質問 |
---|---|
上司からよく怒られる、叱られる | |
正社員で、かつ、40歳以上になっている | |
現在、正社員であるが、勤続年数が3年に満たない | |
会社での業績(成績)が良くない | |
30歳以上の段階で転職が3回以上である | |
転職コンサルタントに転職の可能性について相談していない | |
自分のキャリアプランが出来ていない | |
クレジットカードや銀行ローンカードを作成していない | |
非正規社員の場合、紹介予定派遣での就業チャンスの準備をしていない | |
非正規社員の場合、パソコン操作など最低限のOAスキルがない |
チェックリスト②
この項目にチェックが4つ以上あれば、転職の可能性を探っても良いでしょう。
はい | 質問 |
---|---|
30歳未満である | |
求人が数多くあるスキルを持っている | |
現在、非正規社員(派遣、フリーターなど)である | |
今の会社で業績に対して評価され、かつ伝説を作っている | |
いざという時に助けてくれる社外の人間がいる | |
命を懸けてでもしたい仕事がある | |
したい仕事に需要があることが確認できている | |
したい仕事が現在から将来へのキャリアと結びつけることが出来る | |
正社員の場合、少なくとも給料の6カ月分以上の貯金(生活費)がある | |
正社員の場合、家族が転職に賛成してくれている |
あなたが目指す将来のキャリアに向けて、転職というカードが有効であるなら、積極的に活用してください。
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