夏休みの自由研究に悩んでいるのは子どもだけではありません。親にとっても課題ですよね。中学生理科の自由研究「実験」と「調べ学習」について、1日~1週間ぐらいで簡単に取り組めるテーマをいくつかご紹介します。中学生では小学生のときよりも、内容に科学的な視点や根拠が求められます。簡単なテーマでも、自分でアレンジするコツをつかんで中学生らしい「ひとあじ違う・人と差のつく自由研究」に挑戦してみましょう。
中学生の理科の自由研究のおすすめテーマ
時間がたっぷりある夏休みならではの大がかりな実験に取り組みたいというのが理想です。しかし中学生は部活などで自由な時間もあまりなくて、できたら1日ぐらいで手早く済ませたいと思ってしまうのが現実ですよね。
ここでは1日~1週間ぐらいの時間があればまとめられる、自由研究の定番ともいえるようなテーマをいくつかご紹介します。
実験
実験中は、気付いたこと・疑問に思ったことなどをなんでも「自分の言葉やイラスト」で、ノートなどにどんどん書き留めておきましょう。
できるだけ数値的なデータ(温度、重さ、時間など)を数多く集めることを意識すれば、「図、表、グラフ」などに表すことで客観性と見栄えをアップすることができます。
実験が思うようにいかなかったことや、失敗したことも大きな収穫です。「なぜうまくいかなかったのか」「どうすればうまくいくか」原因と解決策を自分で考えるということが、自由研究の「使えるネタ」になります。
[実験1]野菜のDNAを抽出してみよう(所要時間の目安:1日)
【準備するもの】
・野菜(ブロッコリー、たまねぎなど)
・食器用洗剤(除菌効果などのないもの)
・食塩(塩化ナトリウムのみのもの)・エタノール
・すりこぎとすり鉢 ・茶こし
・計量カップ・計量スプーン
・透明プラスティックカップ(ガラスコップ)数個
・割りばし ・包丁
【実験の手順】
(1)「DNA抽出液」をつくる。
計量カップに食塩を小さじ1.5杯(約7.5ml)、洗剤を小さじ1杯(約5ml)、水を入れて、全体で200mlになるようにする。よくかき混ぜて溶かす。
(2)野菜をすりつぶしたものを(1)に加えて軽くかき混ぜ、5分以上放置して茶こしでこす。
(3)エタノールを割りばしをつたわせるようにそっと注ぎ入れる。しばらく放置すると白い綿のようなモヤモヤしたもの=DNAが浮いてくる。
【まとめ方】
・実験の過程やDNAの写真を貼り、説明します。
・実験前に自分が想像したDNAと、実際のDNAを比べてみましょう。
【ワンランクアップのヒント】
DNAを取り出す作業と結果だけでは単純な内容になってしまうので、「より多くのDNAをとりだすのにはどうすればよいか」について、いろいろな条件を変えた実験で検証してみましょう。
・他の種類の野菜を試してみる。
(小松菜、ニンジン、キャベツ、ジャガイモなど)
・同じ野菜でも部位を変えてみる。
(ブロッコリーの花芽と茎を比較する)
・新鮮な野菜と古い野菜を比較する。
(買った日の違うブロッコリーを準備する)
・DNA抽出液につけておく時間を変えてみる。
(5分、10分、15分、20分…)
・食塩、食器用洗剤、エタノールの量を変えてみる。 など
※それぞれ、同じ重さの野菜を用いて、抽出できたDNAの量を比較します。
※DNAの量に「違いが出た理由」「違いが出なかった理由」を自分で考えてまとめましょう。
[実験2]温泉卵を作ってみよう(所要時間の目安:1日)
【準備するもの】
生卵、鍋、水、温度計、タイマー
【実験の手順】
(1)卵を60度・75度・90度のお湯に入れ、30分間おく。(容器、お湯の量などの条件を同じにします)
(2)卵を割ってみて、温泉卵になっているかどうかを確認する。
【まとめ方】
・お湯の温度の変化と時間を丁寧に測り、表やグラフに表すとよいでしょう。
※卵の様子がよくわかる写真も忘れずに。
・黄身と白身それぞれが固まる温度を調べて、卵がどうしてそのような状態になったかの理由を考察します。
【ワンランクアップのヒント】
(1)「最高の温泉卵を作るレシピ」を追求する。
・30分放置したときに卵が固まりすぎた温度で再実験します。
・15分・20分・25分・30分の時間で割ってみて卵の状態を確認します。(確認のため割る回数だけ卵の数が必要になります。)
・何度か実験を繰り返して、温泉卵に最適な温度と時間を割り出しましょう。
(2)加熱に[実験3]のソーラークッカーを用いる。
・できた卵のかたまり具合から、ソーラークッカーの調理温度を推測するなどの考察が一緒にできます。
[実験3]太陽光エネルギーを活用して調理してみよう(所要時間の目安:3日)
【準備するもの】
・アルミのレンジフード ・植木鉢のスタンド
・アルミホイル ・ペットボトル
・黒く塗った空き缶
・温度計(できれば200~300度まで測れるもの)
・タイマー ・卵 ・小さいさつま芋 ・水
※ペットボトルの水で温度の上昇を調べます。
※空き缶の中に「卵と水」や「アルミホイルで巻いたさつま芋」を入れてアルミホイルでふたをし、調理をします。
【実験の手順】
(1)アルミのレンジフードを傘(パラボラアンテナ)のような形にして、ホチキスかテープで固定し、「ソーラークッカー」を作る。
(2)太陽に向けて、植木鉢のスタンドの上に置く。
(3)ソーラークッカーの中心部分に、実験(調理)したいものを置き、5~10分おきに時間と水の温度を測る。
※実験の経過や、調理できたものの写真を撮っておくこと。
(4)太陽の位置はどんどん変わっていくので、クッカーの向きを調整すること。
(5)ソーラークッカーのない日向に置いたペットボトルや空き缶の温度も、同時に測っておく。
※予想以上に高温になる場合があるので、やけどなどに注意してください。
※100度までの温度計で測るときは、ペットボトルや空き缶の中の「水温」だけにしておいてください。100度以上になって温度計が壊れてしまうと危険です。
【まとめ方】
・「時間と温度上昇」をグラフに表します。
・「調理したものの写真」と「温度」を関連付けてまとめましょう。
・ソーラークッカーなしのペットボトルや空き缶と比較してみましょう。
【ワンランクアップのヒント】
(1)温度をより高くする工夫をしてみましょう。
・「光を集める部分」の素材・大きさ・角度、「調理器具」の種類や色などをいろいろ試してみます。
・最高温度や最高温度に達するまでの時間などのデータを比較してまとめましょう。
・高い温度が測れない場合は、空き缶の中の卵の固まり方で比較することができます。
(2)災害時の非常用調理方法として「あとどこを改良すれば実用化できるか」などをまとめてみてはいかがでしょうか。
[実験4]スポーツドリンクで燃料電池を作ろう(所要時間の目安:3日)
【準備するもの】
・ペットボトル入りスポーツドリンク
・鉛筆2本 ・6P型乾電池(9Vの四角いもの)
・ミノムシクリップ付き導線 ・LED ・タイマー
・紙やすり ・接着剤 ・キリ
【実験の手順】
(1)鉛筆の芯を2本取り出す。
(カッターで芯を削り出す。または、コンロで木の部分を焼き、水で冷まして芯を取り出す。)
(2)紙やすりで芯をこする。(表面積を増やすため)
(3)ペットボトルのふたにキリで穴を3カ所あける。
(4)ふたに芯をさしこみ、接着剤で固定する。ふたの上は2センチぐらい。芯がくっつかないように調整する。(ショートをふせぐため)
(5)ペットボトルにスポーツドリンクを7~8分目まで減らし、(4)のふたを取り付ける。
(6)ミノムシクリップのついた導線で芯と乾電池をつなぎ、芯から泡が出るまで充電する。(時間を測る)
(7)芯に導線でLEDをつないでつくかどうかを確認する。(プラスとマイナスに注意※上の図を参考に)
【まとめ方】
・実験の方法をイラストや写真を添えてわかりやすくまとめましょう。
・LEDの明るさや、ついている時間についても記入しましょう。
・燃料電池がなぜ電気を起こすのか、なぜ環境にやさしいと言われるのか、理由を調べてまとめてみましょう。
【ワンランクアップのヒント】
・電流が流れているかを調べる方法に、LEDだけではなく電流計(できればデジタル式のもの)を使うことをおすすめします。数値データがあれば、実験の結果をグラフや表にできるので、客観性と見栄えがアップします。
・スポーツドリンクの代わりに、お茶や食塩水(いろいろな濃度のもの)などでも実験してみましょう。電流の大きさを比較してまとめることができます。
・鉛筆の濃さの違う芯で実験した結果を比較してもいいでしょう。
[実験5]松ぼっくりで炭づくり(所要時間の目安:3日)
【準備するもの】
・松ぼっくり ・お菓子の空き缶
・アルミホイル ・カセットコンロ
・軍手 ・ピンセットかトング
・竹串 ・はかり ・タイマー
【実験の手順】
(1)松ぼっくりをアルミホイルで包む。
(2)(1)を空き缶に入れてアルミホイルでふたをする。竹串で3カ所穴をあける。
(3)網をのせたカセットコンロの上に置き、煙が出なくなるまで中火で加熱する。
(4)冷えたら、炭を取り出す。
※実験の過程の写真を撮っておきましょう。
※煙が出るので屋外で実験してください。
【まとめ方】
・実験の過程を写真を添えて説明します。
・できた炭の様子を詳しく観察します。
・炭になる前と後で、重さを比べてみましょう。
・炭ができる仕組みや、炭の利用の方法についてもまとめましょう。
【ワンランクアップのヒント】
・できた炭に火をつけてみて、燃え方や燃える時間を観察します。
・松ぼっくり以外の物(野菜、木の葉、どんぐり、折り鶴など)で炭をつくってみて、「炭になる時間」「できた炭の様子」「重さの変化」「火をつけたときの燃え方・燃える時間」などを比較してみましょう。
・炭にならなかったものはあったでしょうか。あればその理由を考えてみましょう。
[実験6]生ごみでたい肥を作ろう(所要時間の目安:1週間~2週間)
【準備するもの】
・ペットボトル(2リットルサイズ)
・植物が生えているところの土
・生ごみ(野菜や果物のくず)
・米ぬか(あればでよい)
・新聞紙 ・輪ゴム
・カイワレ大根の種
【実験の手順】
(1)土、生ごみ、米ぬかを混ぜておく。
(2)上半分を切りとったペットボトルに、下から[土][(1)で混ぜたもの][土]の順に入れる。
(3)新聞紙でふたをして輪ゴムで止める。
(4)このまま数日間放置すると「たい肥」ができる。
※自分で作ったたい肥で、カイワレ大根の種を育ててみましょう。
※たい肥のできる様子や、カイワレ大根の成長を写真に撮っておきます。
【まとめ方】
・たい肥ができていく過程を、写真やイラストでまとめます。
・「土のみ」「土+たい肥」「たい肥のみ」それぞれで育てたときのカイワレ大根の育ち方の違いを、写真やイラストを使って表にまとめましょう。
・「なぜ、生ごみが肥料になるのか?」仕組みを調べてイラストと文章でまとめます。
・生ごみが減ったら焼却によって放出するCO2がどの程度減らせるか、インターネットなどで調べてみましょう。
・たい肥を使った有機農業の実態などを調べて一緒にまとめるのもいいですね。
【ワンランクアップのヒント】
・たい肥にするものを変えてみます。(野菜の種類を分ける、木の葉、わらなど)
・「途中でかき混ぜるもの」「かき混ぜないもの」「生ごみを上にのせただけのもの」で、たい肥のでき方を比べてみましょう。
・容器を置いておく環境(湿度・温度)の差をつけて、比較してみましょう。
・カイワレ大根が最も成長するたい肥はどのようにして作ったものでしょうか。
[実験7]重力と植物の成長の方向を調べよう(所要時間の目安:1週間)
【準備するもの】
・段ボール箱 ・ペットボトル
・脱脂綿 ・カイワレ大根の種
【実験の手順】
(1)上部を切りとったペットボトルに脱脂綿と水を入れて、カイワレ大根の種を2,3粒まく。
(2)段ボールで光を遮った中で、(1)を育てる。(1本でも育っていればOK)
(3)芽が出て少し伸びてきたところで横に倒し、どのように伸びていくかを観察する。
※横に倒したあとは、15分おきぐらいに写真を撮りましょう。
【まとめ方】
・芽が伸びていく様子を、写真やイラストを使ってまとめます。
・自分の予想と、実際の結果を比較してみましょう。
【ワンランクアップのヒント】
・宇宙実験(無重力)の結果を調べて比較してみましょう。
・光をどこか一方向から当たるようにし(箱に穴をあける)伸びる様子を観察します。
・穴の位置や大きさを変えてみて、比較してみましょう。
・懐中電灯を使って照らした結果と比較してもいいですね。
調べ学習
日常生活の中でなんとなくわかっていても、改めてきちんと説明したことがないようなものが「調べ学習」のよいテーマになります。本やインターネットで調べたことをまとめていきます。
ただ調べて書くだけでは、どうしても人と同じような内容になってしまいがちなので、次のような工夫をしてみましょう。
・「自分が特に興味を持った点」「人に注目してほしい点」をはっきりするようにまとめる。
・「誰か・何か」からの視点でまとめ直してみる。
・自分の体験・実験をしてみた結果などを付け加える。
調べた内容に、自分なりのオリジナリティを加えると、わかりやすさと深みがぐっと増しますね。
[調べ学習1]ウィルスとワクチン
【調べる内容・まとめ方】
・ワクチンのある病気、ウイルスの種類
・ウィルスによって病気になる仕組み
・ワクチンの接種によって病気を予防する仕組み
などを、イラストを使ってまとめましょう。
【ワンラックアップのヒント】
ワクチンか、ウィルスの立場から擬人化して内容をまとめてみましょう。絵が得意な人はマンガを描き添えてもいいですね。読む人がわかりやすく、興味を持ってくれる内容になることでしょう。
[調べ学習2]天動説と地動説
【調べるポイントとまとめ方】
「天動説」と「地動説」の違いを、表やイラストでわかりやすくまとめます。プトレマイオス、コペルニクス、ガリレオなどの人物についても調べましょう。
【ワンランクアップのヒント】
・天動説・地動説それぞれの「星の動き方」を「ぬいぐるみやボール」で表現し、何枚かの写真を使って説明してみましょう。
・自分が人と違う意見を主張したときの経験(想像でもよい)を織り込みます。
・誰か好きな科学者をひとり選んで、生涯や性格などを掘り下げた内容を追加しましょう。(自分と似ている点・違っている点はどこでしょうか。)
・「科学者」「研究者」という職業について、自分がどんな印象を持っているのかを書いてみるのもいいですね。
[調べ学習3]ほ乳類の目の付き方
【調べるポイントとまとめ方】
(1)動物の目のつき方(顔の前か横か)
(2)それぞれの動物の「視野の広さ」と「両目で見える立体視ができる範囲」
(3)それぞれの動物の生活の場所や、食べるもの(草食・肉食)や、天敵など
(1)~(2)について調べた内容をイラストを使って一覧表にまとめます。
最後に、動物の目のつき方は「偶然ではなく必然である」ということを、調べた内容から導いて結論をまとめましょう。
【ワンランクアップのヒント】
・動物園で実物の動物の写真を撮ったり、スケッチをしたりしてまとめに加えます。そのとき気になった行動なども付け加えましょう。
・昆虫、魚類、両生類、爬虫類、鳥類の目のつき方についても調べて、それぞれの生態との関連性をまとめてみるとよいでしょう。
・もし「例外」が見つかれば、それについても書いてください。その理由を自分なりに考えてみるといいですね。
[調べ学習4]国際宇宙ステーション
【調べるポイントとまとめ方】
JAXAのホームページなどで「国際宇宙ステーション(ISS)」と「きぼう(日本実験棟)」について詳しく調べてみましょう。
・かかわっている国
・目的や使命
・これまでの主な成果
・「きぼう」ではどんな実験がされているか。
・将来自分がISSに行くためには、今から何をすることが必要か。
【ワンランクアップのヒント】
JAXAのホームページに「ISSの目視予想情報」が掲載されています。自分の住んでいる場所から観測しやすい日や方位を確認して実物のISSを観察してみましょう。ISSの位置を調べるスマホのアプリ「ISSディテクター」も活用するといいでしょう。
ISSは動きが速いので、双眼鏡や望遠鏡を用いるよりも肉眼で見るのがいちばん適しています。夜景や夜空を撮影することのできるスマホやデジカメがあれば、写真撮影にも挑戦してみましょう。
もし、実際に見えなかったとしても「ISSが見えるはずの条件」についてを調べて「なぜ見えなかったのか」の理由を推測してまとめてもいいでしょう。
簡単な自由研究のテーマアイディア
さらに、中学1年生でも数時間~1日あればできる簡単なテーマをご紹介します。
短時間でできる自由研究テーマ
[実験8]氷のとけ方を比べよう
氷を何かで包むと溶け方に変化があるか、包むものによって溶け方に差があるかを調べます。
【準備するもの】
・製氷皿 ・新聞紙 ・ビニル袋
・ガーゼ ・セロハンテープ
・まな板 ・温度計 ・時計
【実験の手順】
(1)氷を新聞紙・ビニル袋・ガーゼで包み、セロハンテープで止める。
(2)(1)で包んだ3種類の氷と、包んでいない氷を傾けたまな板の上に並べ、溶け方・溶け終わるまでの時間を記録する。
【まとめ方】
・それぞれの溶け方と、溶け終わるまでの時間を表にして比較します。
・実験前に仮説をたて、結果と比べてみるとよいでしょう。
[実験9]リンゴの変色を防ぐ方法について調べよう
切ったリンゴを食塩水につけると変色しにくくなります。このことを科学的に調べ、最もよいリンゴの保存方法を探してみましょう。
【準備するもの】
・リンゴ ・プラスチックカップ5個
・食塩・レモン果汁・食酢・砂糖(それぞれ水に溶かして100mlずつの溶液を作る)
【実験の手順】
(1)8等分したリンゴを「4種類の溶液」と「水(何も混ぜていないもの)」に1個ずつ入れ、20分間放置する。
(2)リンゴを取り出して観察する。
(3)空気中に20分間放置し、再び観察して比較する。
【まとめ方】
・結果の仮説を立てて、結果と比較しましょう。
・変色を防ぐ理由を調べてみましょう。
・他にも試してみるものがないか探してみましょう。
[実験10]卵を浮かせてみよう
卵はふつう水に沈みますが、食塩を入れると浮いてきます。いろいろなものを水に溶かして、卵が浮くかどうかを調べます。
【準備するもの】
・生卵 ・食塩 ・砂糖
・ボウル ・はかり ・紙
・計量カップ ・はし
【実験の手順】
(1)まず食塩を150グラム紙の上にのせ、はかり取る。
(2)ボウルに水を1リットル入れ、卵をいれる。
(3)食塩を少しずつ水に溶かす。
(4)卵が浮き始めたら、食塩を入れるのをやめる。
(5)紙の上に残っている食塩の重さをはかる。
(6)溶かした食塩の重さを計算する。
[溶かした食塩の重さ=150グラムー残った食塩]
(7)卵を取り出して、食塩水の体積をはかっておく。
(8)同じように、砂糖でも実験してみる。
【まとめ方】
・卵がなぜ浮くのかを考察しましょう。
・卵の密度を計算で求めてみましょう。
※密度=重さ÷体積 (卵が浮き始めた時の食塩水の密度と同じです。)
・鶏卵とうずら卵の密度を比較してもおもしろいですね。
・卵以外のもの、食塩・砂糖以外のものでも試してみましょう。
1日でできる自由研究テーマ
[実験11]葉っぱで日光写真を写そう
植物の葉が光合成ででんぷんをつくる性質を利用して、葉に絵を写すことができます。
【準備するもの】
・透明のプラスチックの板
・黒の油性ペン ・クリップ
・なべ ・コップ ・皿
・消毒用エタノール
・うがい薬(ヨウ素の含まれているもの)
・スポイト(ストローで代用可)・キッチンペーパー
【実験の手順】
(1)プラスチックの板に黒で絵を描く。
(2)暗くなってから夜のあいだ、葉に絵を描いた板をクリップでとめておく。
(3)朝、日が昇ってから2時間以上太陽に当てる。
(4)葉をつみとりプラスチックの板を外し、鍋のお湯で葉を5分ほど煮る。
(5)「エタノール」を入れたコップに葉を入れ、そのまま鍋のお湯につけておく。
※このとき鍋は必ず火からおろしておくこと!
(6)30分ぐらいで葉が白っぽくなったら、水で洗う。
(7)葉を皿にのせて「うがい薬」をたらすと、絵が浮かび上がる。
(8)葉をキッチンペーパーにはさんで水分を取ったあと、本などの平らな重しを置いて、よく乾かす。
【まとめ方】
・なぜ葉に絵が写るのでしょうか?仕組みを調べてまとめましょう。
・いろいろな植物の葉で試してみるのもいいですね。
まとめ方のポイントとまとめ方の例
模造紙、画用紙、スケッチブック、レポート用紙、クリアブック、レポート用紙、ノートなどと、研究をまとめるものの種類はたくさんあります。教室などで発表する機会があるなら、大きな模造紙が最もおすすめですが、自分がまとめやすいものを選んでいいでしょう。
表やグラフは手書きでもいいですが、中学生ならエクセルやワードで作成したものを印刷して貼りつけるのもいいですね。すっきりときれいにまとまります。
学校によっては、宿題として提出された自由研究の優秀なものを、企業や教育委員会などが主催する賞などに応募する場合があります。学校で配られる宿題の内容をよく確認して、自分が参加したい賞の要項にあう形式で仕上げるようにしましょう。まとめ方についても規定がある場合は、それに従ってください。
まとめ方のポイント
簡単なテーマでも、立派な研究に見えるようにするのはまとめ方次第です。「見やすさ」「わかりやすさ」を意識してまとめましょう。
・必要な内容を順序よく、見やすく並べるようにする。
・箇条書きで簡潔にまとめる。
・図・表・グラフを活用して、変化や違いが一目でわかるようにする。
・字の大きさや色を変えて、重要なところを強調する。(色は使いすぎず、3色ぐらいまでに)
・実験の写真、実験に使った実物などを貼ると説得力が出る。
まとめ方の例
■タイトル
■研究のきっかけ(動機・目的)
■使った材料・器具
■研究(実験)の方法
■実験・観察の結果
■わかったこと(考察)
■反省と感想
■参考にしたもの
特にタイトルには決して手を抜かないで、興味をひく、読んでみたくなるインパクトのあるものをじっくり考えてみてください。「このテーマを選んだきっかけから、研究や実験をとおして自分がどう考えるようになったのか」という、ひとつのストーリーの流れを意識しながらまとめてみましょう。自分らしさが出て、印象に残る研究になるでしょう。
過去の優秀作品
中学生とは思えないようなハイレベルな自由研究が受賞しています。集めたデータのち密さに驚かされます。データの集め方、グラフ・表・写真の使い方など、まとめ方の参考にしてみましょう。
意外なことかもしれませんが、決して思い通りの結果が出ているわけでも、なぞの解明が100%されているわけではありません。壁にぶつかったとき、新しい疑問がわいたとき、研究をさらに発展させるという姿勢がとても参考になります。
↑ここから引用いたしました。
中学1年生■筑波大学「科学の芽」2014年受賞作品■
「どうしたら長く飛ぶ紙飛行機が作れるか~主翼の翼型と飛行時間~」
小学2年のときから、よく飛ぶ紙飛行機の作り方をずっと考えていたそうです。航空力学を取り入れ、飛行機の翼の形を試行錯誤しながら実験を繰り返す過程が詳細に記されています。
中学2年生■全国小・中学生作品コンクール 理科部門2015年受賞作品■
「海水で発電はできるか~未来の浸透圧発電~」小・中学生作品コンクール_理科部門 2015年受賞作品紹介
「海水を使って実際に発電をしてみる」という実験をしています。実験の装置の準備・本実験のまえの予備実験など、本格的な研究のプロセスをしっかりたどっています。実験の結果から浮かんできた新しい疑問「浸透圧は塩水以外の水溶液を使ってもおきるのか」についてもさらに実験を行って検証した点が高く評価されたそうです。
中学3年生■シゼコン 中学校の部 2015年入賞作品■
かつお節が踊るメカニズム (中学校の部 1等賞) | 入賞作品(自由研究) | 自然科学観察コンクール(シゼコン)
小学6年生のときに1度研究した「かつお節はなぜ踊るのか」というテーマを、中学生で再研究したそうです。日常生活の中での疑問を、工夫された実験で根気よく検証していく過程がよくわかる研究です。
参考になるサイト
ベネッセ教育情報サイト
このサイトのテーマからいくつかピックアップして紹介させていただきましたが、サイトには他にも多数のテーマが掲載されています。テーマ以外にも「まとめ方のポイント」や「親のかかわり方」についても掲載されています。
学研キッズネットアイデアデータベース
ここにも多くの科学実験のテーマが掲載されています。テーマに関連した実験キットも紹介されていて、購入もできます。
充実した夏休みは、チャレンジしてこそ!
中学生の自由研究は、親がどこまで手伝うべきなのか悩むことだろうと思います。ひとりで最後まで仕上げられるお子さんもいらっしゃると思いますが、実験に関しては、薬品や火を使うものではなくても思わぬ事故が起きることがありますので、必ず付き添って見ていてあげてください。
なかなか進められないお子さんには、親が声をかけて一緒にやりましょう。きちんと丁寧にやっていても、思っていたような結果が得られないこともあるかもしれません。途中でくじけてしまわないように、最後までやり遂げられるようサポートしてあげてください。特に実験では、うまくいかなかった結果もそのまま正直に書けばいいということを、しっかり伝えてください。
中学生の夏休み、カタチに残るもののひとつとして、自由研究に親子で積極的に取り組んでみるというのもよいのではないでしょうか。
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