1.「経営者保証ガイドライン」とは
「経営者保証ガイドライン」とは、我が国の開業率が国際的に見て著しく低いことから、事業に失敗した経営者が再チャレンジし難い環境を改善していこうという政府の動きにより、平成25年12月に公表されたものをいいます。
このガイドラインによって、今後は経営者といえども過剰な 保証を取ることのないよう、政府が金融機関に弾力的な対応を促しているといえます。
「経営者保証ガイドライン」の目的
政府により策定された「経営者保証ガイドライン」の目的は、以下の2点です。
- 企業融資で求められる過剰な保証で背負う経営者の負担を軽減すること
- 経営者の新たな事業への挑戦意欲を創出させ、
万一経営に失敗した場合でも再スタートを切りやすくさせること
つまり、個人事業主の負担をできるだけ減らすことをサポートし、
万が一倒産などの場合でもまた新たに事業を起こせるような支援を行うということです。
取組事例
「経営者保証ガイドライン」の取り組みの一つとして、“代表者の保証参加なしの融資”
ということがあげられます。
代表者の保証参加なしの融資とは
最近では、ABL(Asset Based Lending)という融資形態の活用が広まりつつあります。
従来、担保にする資産と言えば不動産ですが、その他、企業が保有する資産には
「在庫」や「売掛金」があります。
こうした資産を担保にすることで、融資の保全が充足できれば、
代表者の保証を取らずに融資が行われるという考え方が“代表者の保証参加なしの融資”です。
例えば、仕入れる在庫を担保に、その仕入資金の融資を行うといったことで、
こうした仕組みが慣行的になれば、もっと事業拡大がしやすくなるはずでしょう。
ABLとは
ABL(Asset Based Lending)とは、
企業が保有する「在庫」や「売掛金」などを担保とする融資手法のことをいいます。
以下のデータからわかるように、現在、金融機関の融資の担保は、「不動産担保」が中心であり、「動産・売掛金担保」は、あまり活用されていないのが実情です。
現在の、日本の企業保有資産の状況は、「在庫」+「売掛金」の合計は、297兆円に対し、「土地」は186兆円といわれているため有効な手段といえるでしょう。
(※平成23 年度財務省「法人企業統計調査」による)
中小企業等が経営改善・事業再生等を図るための資金はもとより、新たなビジネスに挑戦するための資金を確保することが、現下の重要な課題となっており、「動産・売掛金担保」の一層の活用を図ることができれば、より円滑に事業資金が確保され、中小企業等の経営改善や事業の拡張等に資することが期待されます。
まとめ
中小企業は日本経済の中枢を担っているといえ、今回のテーマである「経営者保障に関するガイドライン」からもわかるように、政府は現在中小企業支援に力を入れています。
銀行から融資を受ける際の経営者への負担が軽減されることによって、これから新たに融資を受ける人も増えることが期待されています。
融資や補助金などの資金繰り対策は、経営者の方々にあまり知られていないことも多いです。
経営を円滑化させるためにも資金繰りは必須項目となりますので、専門の税理士に相談するなどし、新しい情報を得るようにこころがけるとよいですね。
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