体重階級制のスポーツにとって、競技技術と同等に大切なのが減量技術です。減量の最重要ポイントは、いかにパワー・スピード・スタミナといった身体的ポテンシャルを落とさずに体重を落とすかです。その秘中の知識を教えます。
減量はいくつかの段階に区切って効率的に
減量開始から仕上がりまで、同じ食事だとダメ
経験の浅い初心者が減量をする時に一番やってしまいがちな失敗が、減量開始から仕上がりまで同じ内容の減量食を食べ続けてしまうというものです。減量食と言えば、鶏肉、大豆製品、低カロリープロテインなど、少しの知識があれば簡単に思いつきますよね。
でも、そのような減量食を低カロリーで食べ続ける減量は、筋肉や血液量を削って、単に「痩せる」だけの減量になります。そして、長期間の単純な減量は、精神的にもずいぶん削られてしまい、実際の競技では勝てる確率が低くなってしまいます。
準備期→ダイエット期→減量期→追い込み期→仕上げ期
今回は、より具体的に減量の各段階とそれぞれに必要な食事を説明するために、架空の選手を設定したいと思います。選手は、日本人で最も選手人口の多い中量級(-70kg級)、10kgの減量と仮定して、減量開始前の体重を80kgと設定します。
減量期間は2カ月(8週間)とし、その期間を「準備期・1週間」→「ダイエット期・2週間」→「減量期・3週間」→「追い込み期・1週間半」→「仕上げ期・3日」に区切り、食事内容も変化させながらポテンシャルを維持して減量していきます。
準備期の食事とプロテイン・初日の断食と朝食の置き換え
まずは通常タイプのプロテインを朝食と置き換える
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準備期の最大の目標は胃を縮めることです。胃を縮める事により、物理的にたくさん食べられなくなるので、その後に続く減量がグッと楽になります。まず、一日目は「断食」しましょう。この一日目はかなり苦しいので、仕事に影響のないお休みの日などがオススメです。
その次の日から朝食をプロテインに置き換えます。この時期のプロテインは通常のカロリーの高いもので問題ありません。
肉類を多めに
昼食と夕食は、腹八分目に抑えますが、炭水化物(ごはん・パン・麺類)を少なくすることで量を調整し、肉類は多く食べてください。これから始まる減量で、イヤでも筋肉が落ち始めるので、タンパク質はしっかり摂取しておきましょう。
スポーツ選手が筋肉を維持するのに必要な一日あたりの純蛋白質量(水分を抜いた重量)は、体重÷1000×2gという数式で計算できます。ですので、体重70kgの選手に必要な純蛋白質量は140g/日です。
朝食のプロテインで40g摂取するとして、残りの100gを肉類で摂取します。肉の重量は蛋白質:水分がおよそ1:4なので、肉500gを食べれば100gの純蛋白質が摂取可能となります。
ダイエット期の食事とプロテイン・主食の半分を大豆に
まだ通常のプロテインで大丈夫
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準備期を終えた段階で、通常2kgほど体重が落ちるので、架空の選手はこの時点で体重78kgです。
これから2週間のダイエット期に入ります。減量と呼ぶほどの厳しさはないので、あくまでダイエットだと考えて気楽にいきます。朝食をプロテインにするのはそのままで、プロテインの種類もまだ通常のタイプで大丈夫です。
主食を大豆に置き換え始める
減量のほぼ全期間を通じてオススメの主食が大豆です。植物蛋白質が豊富なこと、腹持ちが良いこと、植物繊維が多いことなどが理由です。特に、減量期間中は便秘が大敵なので、植物繊維の多い大豆は最適な主食になります。最近はそのまま食べられる「水煮大豆」が1袋100円前後で入手できるので便利です。
まだ、あくまで気軽なダイエット期なので、主食は米:大豆が1:1ほどでよいでしょう。テフロン加工のフライパンなどで油を使わずに米と水煮大豆をチャーハンのようにするとふっくらとして美味しいですよ。
ちなみに、気軽とは言えダイエットなので、揚げ物や麺類を食べるのは中止しましょう。きちんと行えば、この期間で2kgほど体重が落ちて、架空の選手は76kgになります。
減量期の食事とプロテイン・減量用プロテインと夕食の炭水化物停止
朝食を減量用のプロテインに切り替える
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いよいよ本番の減量期が始まります。朝食のプロテインは通常のものからローカロリーの減量用プロテインに切り替えます。
この時期の最大のポイントは、いかにカロリーを落としながらも摂取する蛋白質量を維持するかということです。筋肉や血液量を落とさないためには、面倒くさがらずにきっちりと蛋白質量の計算をしましょう。この時期に入ると、夕食で炭水化物を摂取するのを停止します。
週に1回は食べたいものを沢山食べる
えっ!?減量中にカツ丼!?と思うかもしれませんが、週に1回は食べたいものをお腹いっぱい食べましょう。減量期に入ると、摂取カロリーの低下に合わせて身体が「飢餓モード」になり、基礎代謝が下がり、省エネ状態になります。これは、太古から続く、人間の動物としての保護機能なのです。
自分自身の脳を騙すために、週1回の過食が効果的で、「チート食」と言われています。たらふく高カロリーのものを食べることで、「今は飢餓じゃないよ」と脳を騙すのです。
なお、主食は大半を大豆にしていきます。減量期をキチンと乗り切れば、体重は4kg落ちて、架空の選手はこの時点で72kgです。
追い込み期の食事とプロテイン・ストイックに体重を目安に
ストイックなプロテイン
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追い込み期に入ると、朝食のプロテインもほとんどが蛋白質のものにしましょう。とても厳しい状況になりますが、あと1週間半、ここまできたら乗り切るしかありませんよね。炭水化物もほとんど摂取できなくなりますが、体重を見ながら食事量を決めていきましょう。
架空の選手の場合、体重を常に計りながら食事量を調整し、試合の3日前の時点で階級リミットの70kgより500g多い70.5kgにピンします。
ササミなどが定番食品
減量の定番蛋白源と言えばササミです。このほかには、豆腐などが最適ですね。これらの単調な食事は飽きてくるので、ミンチにしてハンバーグ風にしたりと色々工夫しましょう。
異常食欲防止にビタミン&ミネラルを
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追い込み期は、相当に苦しく、突然本能的に湧き上がる異常な食欲に苦しむこともありますが、これは、減量による微量元素、すなわちビタミンやミネラルの欠乏が原因とも言われています。
実は、身体が欲しているのは食物ではなく、食物に含まれる微量元素なのです。ですので、減量全期間を通じてビタミンとミネラルはサプリメントでしっかり補充するのが理想的ですよ。
仕上げ期の食事・脱水とカーボローディング
待ちに待った、白米が食べられる
試合の三日前になったら仕上げ期です。ここからは体重を落とす食事ではなく、勝つための食事に切り替えます。蛋白質の摂取は、ほとんど必要なくなり、そのかわりに、炭水化物不足によって筋肉内で枯渇していたグリコーゲンの貯蔵に入ります。これを「カーボローディング」と呼びます。体重を見ながらご飯を食べましょう。
筋肉内のグリコーゲンがなければ、筋肉は動かず、試合で全く勝つことができませんので最重要事項です。
禁止事項・塩分摂取
まだリミットより500g多いのに、「なんでご飯が食べられるの?」と思う方も多いでしょう。その答えは、塩分摂取の停止です。
人間の体液の塩分濃度は一定に保たれています。日々、汗などで塩分は排出されるので、塩分の補給を停止すれば、塩分濃度を一定にするために体内の水分が尿や汗としてどんどん排出されるのです。この、塩抜きによる水分の排出は予想外に多く、3日で2kg(2リットル)ほどの重量になります。
この、水分排出による体重の減少分で炭水化物を摂取して、筋肉内にグリコーゲンを貯めていきます。
念のためにOS-1
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塩抜きによる水分排出は、やりすぎると電解質失調(脱水症状)を引き起こします。サインは、動いていないのに汗が止まらなくなる事です。あっ、そうかな?と感じたら早めにOS-1などで対応しましょう。
さあ、いざ!
このような段階的な減量期間を経て、アスリートたちは勝負の場所に立ちます。今回紹介した減量の追い込み期以降は、あくまでギリギリの減量を迫られるアスリートがモデルケースですので、強めのダイエットが目的の方は、減量期までに留めておいてくださいね。
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