近年、テレビなどのメディアで取り上げられたことなどから、現在高い関心が寄せられているのが「ふるさと納税」です。
ふるさと納税は寄附金控除のひとつですが、今まで寄附金控除を受けたことがないため、その仕組みや計算がよくわからないという方も多いでしょう。
今回は、ふるさとの納税の計算方法を中心に、個人事業主の方必見の「ふるさと納税のすべて」をご説明していきます。
1.ふるさと納税とは
平成20年、政府は市町村の合併を積極的に行い、過疎化が深刻化する自治体に対する改革の取り組みを行いました。その年の税制改正で新たに始まった制度が、「ふるさと納税」です。
最近ではテレビなどのメディアで取り上げられることも多いため、注目度の高い控除の一つとなります。
ふるさと納税は、「全国の都道府県や市区町村などの地方自治体に寄附金を一定額納めた場合、寄附金額に応じて所得税の軽減及び住民税が税額控除される仕組み」のことをいいます。
個人事業主の方はもちろん、サラリーマンの方もこのふるさと納税は活用することができるため、多くの人が利用している制度です。
ふるさと“納税”という名前から新たに税金を納めるという印象を持たれている方も多くいらっしゃいますが、あくまでも寄附金控除の一種となりますので、ご注意ください。
2.ふるさと納税の3大メリットとは
ふるさと納税には、大きく3つのメリットがあります。
- 自分で寄附したい地域を選び、寄附を行なうことが出来る。
- 所得税と住民税の税額控除を受けることが出来る。
- 寄附した地域の特産品を受け取ることが出来る。
では、ひとつずつメリットを確認していきましょう。
自分で寄附したい地域を選び、寄附を行なうことが出来る
“ふるさと”というからには、ご自身の実際の生まれ育ったふるさとにのみ寄附が出来ると思われがちですが、そうではありません。
都道府県や市区町村、寄附をする自治体は自由に選択することが出来ます。
所得税と住民税から控除を受けることが出来る
ふるさと納税は確定申告をおこなうことで、所得から納めた寄附金額に応じた軽減および控除を受けることが出来ます。
控除の対象となるのは、2,000円以上の寄附を行った場合です。
しかし、寄附金全額が控除額となるというわけではありません。
最低でも2,000円は自己負担が必要となりますので、最低自己負担額で寄附をおこない控除を受けたいという場合は、それにあった寄附金額の計算をおこないましょう。
寄附した地域の特産品を受けることが出来る
ふるさと納税が人気な理由として、寄附した地域から特産品が送られてくるという点があります。
寄付金額に応じてその地域の特産品が用意されているため、特産品の内容を確認したうえで寄附する地域を選ぶ方も多いようです。
3.個人事業主の場合のふるさと納税の計算
上記でもご説明したように、寄付金額に応じて軽減額、税額控除額が決定します。
個人事業主の方の場合は、確定申告を行なう際に所得控除額の計算をおこなわなければいけません。
所得税と住民税、それぞれ軽減、控除される額の計算方法は異なりますので、ご注意ください。
- 所得税の軽減額の計算
- 住民税の控除額の計算
基本控除額+特例控除額
※基本控除額
(寄附金額-2,000円)×10%
※特例控除額
(寄附金-2,000円)×{90%-(所得税率)×1.021}
◎所得税率一覧表(国税庁ホームページより引用)※平成26年4月1日現在
課税される所得金額 | 税率 |
---|---|
~1,950,000円 | 5% |
1,950,001円~3,300,000円 | 10% |
3,300,001円~6,950,000円 | 20% |
6,950,001円~9,000,000円 | 23% |
9,000,001円~18,000,000円 | 33% |
18,000,001円~ | 40% |
また、寄附金控除の対象となる寄付金額は、所得税の場合総所得の40%、住民税の場合30%となりますのでご注意ください。上記でいう寄附金とは、その年の1月から12月、1年間で行った寄附の合計金額のことです。この中にふるさと納税分が含まれるということになります。
さらに、特別控除額には限度額があります。
住民税所得割の額の10%までとなりますので、求めた計算額がそれを超えていないかどうか確認しましょう。
4.ふるさと納税の申し込み
ふるさと納税の申し込み方法は簡単です。
以下の3つのステップを行いましょう。
申し込みまでの3ステップ
- 寄附をおこなう地方自治体を探す
- 各自治体が設けた申し込みフォームより申し込みをおこなう
- 払込票または、指定された納付方法で寄附金を納付する
寄附をする自治体選びは、「地域」「寄附の使い道」「特産品」など様々なポイントから選ぶことが出来ます。
ご自身で選択し、その自治体のホームページにアクセスすると申し込みフォームが用意されていますので、そちらに必要事項を記入し、申し込みを行ってください。
自治体によって納付方法は異なりますので、各自治体の指定する納付方法で寄附金を納めれば完了となります。
特産品の送付は、発送時期などが異なりますので、あわせてホームページで確認しておくとよいでしょう。
5.ふるさと納税の確定申告計算方法
上記のステップで寄附金の納付を行うと、各自治体から領収書となる「寄附金受領証明書」が送られてきます。
個人事業主の方の場合、確定申告は毎年必ず行っていただいていると思いますので、ふるさと納税を行うことで面倒な手続きが増えるということはありません。
確定申告の際、「寄附金控除」という欄に以下のいずれかで記入してください。
- 『寄附金額-2,000円』
- 『所得金額の合計×40%』
※いずれか少ないほうの金額を記入
あとは、寄附金控除を含めた必要事項を記載した確定申告書を、送付された「寄附金受領証明書」をあわせて税務署に提出するだけです。
これで、所得税の軽減と住民税の税額控除を受けることができます。
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